古来より、肉を生肉で食べることは人類は文明の発達と共に避けていた。
これは火を使う技術が生まれてから消化器官が衰えたからと言われており。
生肉のまま食べることは即ち病原菌の殺菌を胃ができない可能性があり、食あたりや最悪死に至る事があったからである。
しかし、一部地域では当然食べられており、例えばタルタルステーキが有名だろう。
これは馬肉がそのままでは固くて食べれず(焼くともっと固くなる)
昔の人はこれを食べるために鞍の熱を活かし、柔らかくなった肉をそのまま踏み潰すことで食べていた。
これが伝わって、最終的にハンバーグとなる。
生肉団子はこうして肉を適切に食べるために最初に用いられた立派な調理法なのだ。
しかし、結局の所食あたりが起きてしまい、文明が進むほど生肉食は衰退していった。
そうした中、最終的に生肉を食べる文化としてタルタルステーキが発展していったものが『ユッケ』である。
生肉を砕き、そこに多数の香辛料と醤油、卵を混ぜ合わせて頂く。
これは、現代に残るれっきとした「生肉団子」である。
現在では日本も韓国も食中毒問題が起きており、きちんと適切に滅菌したものしか食べられない。
しかし、このユッケ、一部でこのテキストとよく似た文化がある。
「腐りかけのユッケは美味い」のだ。
これは肉自体が菌類によって分解される事で特有の旨味を出すからである。
そんな腐りかけの味は…納豆のような明らかに旨味成分が生まれている。熟成肉とよく呼ばれるが、それに近い肉の濃厚な旨味がたっぷりと醤油と卵に絡み美味である。
しかし、そもそも生肉を、しかも腐りかけの状態で食すのは大変危険な行為。
しかし、現代の調理法は偶然にもその『腐りかけ』を擬似的に再現して食べれるのだ。
というのも、『ユッケ』は63度の低温で30分という長い時間をかけて調理することでようやく滅菌され食べれる。
この、『63度の低温で30分』は、熱でゆっくりと分解することで偶然にもユッケの『腐りかけ』の状態とほぼ同じ状態になるのだ。
肉は甘く、強い濃い旨味と醤油の味がたまらない。非常に待つ事になるが、それに見合った極上の味である。
しかし、実際に店で出されるユッケは熱で調理した物を1度冷却してしまう為、美味しい状態は失われてしまっている。
もし調理してくれる店があるのなら、1度は食べた方が良いだろう。
過去に食べたどんなユッケよりも美味しい状態なのだ。
何にせよ、肉は美味いのである。